徒然なるベルボーイ

わざわざ誰かと議論するのも野暮ったい、でも言語化したい、そういうことを書きます

神と穏やかな決別を

 

生まれて初めて"リング"を見た。貞子が井戸から這い出してくるシーンを見て、ここ見たことある!、とか言って。サブスク全盛期に呪いのビデオに閉じ込められた貞子を憂いながら、アイスを齧る。

僕はお化けとか神様を全く信じていない。信じてないと言うよりは、いないことの証明は出来ないけど、いる根拠も無いから、いないと考えるのが妥当という感じ。居てくれるなら居て欲しいけど、期待はしてない。信じている人が心から羨ましい。

僕はクリスチャンの家庭に生まれたから、毎週日曜日は教会に行ってミサに与ってた。食事の前には感謝の祈りを唱えたし、クリスマスだって家族としか過ごしたことがない。5年生くらいまでは、自分にとって最高の喜びは天国に行くことだと信じて疑わなかった。しかし、6年生になって、ふと思った。大人はなぜ天国があると知っているのだろう。証明できた人はどこにも居ないはずなのに。背中がぞわぞわして、なんだかとても良くないことを考えたような気がした。

そこからは次々に疑問が溢れだした。どうして神様は私たちを愛しているのに、地獄に行く人が居るんだろう。教会は進化論を支持していながら、どうして人間だけが特別だと決められるのだろう。どうしてイスラム教や仏教ではなくキリスト教が正しいと分かるの。次第に疑問は不信に変わって行った。その週の日曜日、神父に質問を投げかけたが、僕が欲しかった答えは返ってこなかった。ただ、神様の考えは私たちの理解に及ばない、信じる者こそが救われる、と。返ってきた言葉を聞いて、神様を信じる理由がないと気付いてしまった。

死んだら天国に行って永遠にハッピーに暮らす予定だった子供の僕は頭を抱えた。じゃあ、僕は死んだらどうなるの。消えてしまうのか。それからは神を信じる理由がないか色々と探したりしたが、考えれば考えるほど神などいないという答えに帰着する。今では空飛ぶスパゲッティモンスター教で笑う無神論者になってしまった。皮肉なことに偉大なる神様についてもっと知ろうとした結果、神の存在を否定してしまった。

 

お化けや神、超能力を信じている方がいれば是非一緒にお話ししたい。そういったものを信じることが人生の支えになることも理解しているし、決して悪いかとか、無意味かどうかの話がしたいのではない。盲目的に信じているのでないならば、友達として、和やかに議論を重ねたい。どうして信じるのか。あなたの人生のゴールは何だ。僕はただ、逃げるように心を閉ざした神に、次こそは穏やかな別れを告げたいだけなのだ。